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「葵くん! おはよう!」
神社の前を通学のために通っている葵を見かけ、大きく手を振って声をかける。怪訝に眉を顰めながらこちらを向いた葵は、小さく会釈だけしてそそくさと言ってしまった。
見えている。葵にウタの姿が見えている。声も聞こえている。その事実が嬉しくて仕方ないウタは、そうして毎朝のように声をかけていた。
人型もとっていない神の姿で声をかけるものだから、葵以外には聞こえも見えもしない。最初普通に反応してしまい、周りに怪訝そうな顔を向けられた葵は、それ以来そんな態度でさっさと通り過ぎていく。
「ウタさま、あれではあの人間が不審に思われてしまいます」
「え、あ・・・・・・、そ、そうだよね。嬉しくてつい・・・・・・」
ついにみかねたヤトによって咎められてしまった。明日からは、きちんと他の人間にも見える姿で声をかけよう。そう心に決めた。
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