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「毎朝勘弁してくれ」
その日の夕方、大学とやらが終わったらしい葵が神社を訪れうんざりした顔でそう言われた。
「ごめんなさい・・・・・・。ヤトにも言われて、明日からはちゃんと人の姿で声をかけることにしたから」
「ていうか、声なんかかけてくれなくていい。これまでみたいに放っておいてくれたらいい」
「え、でも、これまでも毎朝葵くんの行く姿ずっとみてたから」
「はぁ?」
しまった。言わなければ知らなかったのに、と思ったが時すでに遅い。
「あんた、仮にも神様なんだろ。一人に執着してていいのかよ」
「そ、それは。ちゃんと、参拝してくれる方には心を割いてるよ」
「そうです! ウタさまは御立派に神としてのお勤めを果たしております! なにも知らない人間がとやかく言うな!」
「ミト・・・・・・」
ミトはすっかり葵に敵対心を抱いているようだ。ヤトはそこまでではないのだが。
どちらかというと、子どもっぽいミトと冷静なヤト。
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