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この小さな神社に来訪客はほとんどない。それでも、毎日落ち葉を掃き、拝殿の拭き掃除をし敷地内を十分すぎるほど綺麗に整えてくれるヤトとミト。
元々カラスのその二人は、羽に傷を負い動けなくなったヤトと、それに寄り添うようにして倒れて命つきそうになっていたところを、ウタが力をわけ神使に昇格させた。その為、ミトとヤトはウタに恩義を感じており懸命に尽くしてくれようとしている。
そんな二人のことがウタも大切で、とても可愛く思っているのだ。
しかし、二人はあまり彼のことをよく思っていない。ウタの関心を向けられる人間が面白くないようだ。
「どうしてウタさまは、あのような人間に執着なさるのですか」
「どうして、かぁ・・・・・・」
ミトの問いにウタは曖昧に笑って返した。
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