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「お前、・・・・・・本当に神様なんだな」
「え、まだ信じてくれてなかったの?」
「いや・・・・・・、人間じゃないってことは受け入れるしかないと思ったが、流石に簡単に受け入れられるかよ」
「そっか」
本来、神は人に姿を見せない。時折、人間の生活にこっそりと紛れ込む物好きな神様はいるけれど。人に正体を明かすことはまずない。
しかし、葵には本当の姿を見られてしまっている。下手に隠して誤魔化すより正直に話したかった。
「なんでそんなに、俺にこだわるわけ」
「好きだから! ぼく、葵くんのことが好きだから」
思い出してくれないだろうか。神に誓ったあの言葉を。葵に忘れられたままなのが寂しくてついそう言っていた。
「は?」
「好き。葵くんが好き」
「聞こえなかったわけじゃねぇよ」
聞き返されたのかと思い繰り返したウタに、葵は鬱陶しそうにそう言った。
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