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おじいさんは、目を閉じ手を合わせる。
『初めまして、黒尾大十郎です。住所はーー』
おじいさんの祈りが直接脳に聞こえてくる。“黒尾”・・・・・・葵と同じ苗字だ。ふとそう思いいたり祈りを続けているおじいさんを見た。
『孫の葵が、心穏やかに幸多く過ごせますように』
「えっ、おじいさん、葵くんのおじいさんなんですか?」
ウタはうっかり、声に出して尋ねていた。驚いたような顔が上がり、ウタはハッとした。
「あ、えと、ごめんなさい」
「葵を知っているのかい?」
「え、・・・・・・あ、はい」
おじいさんは、不審がっている様子はなくただ疑問に思ったようにウタに問いかけた。
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