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「もし、ぼくに話すのが嫌だったら、神さまにお願いしてみるといいよ」
「ぅぐ、かみさま・・・・・・?」
「そう。あそこにいって、手を合わせて自分のお名前と、悩んでいることを話すの。そうしたら、神様が聞いてくれるんだよ」
苦しんでいる人の助けになりたい。でも、頼ってもらえなければウタは無力だ。頼ってもらえても、力になれないこともあるけれど。
「聞いてもらうだけでも、気持ちは楽になるかもしれないよ」
気休めにしかならないかもしれない。根本的な解決にはならないかもしれない。でも、願いを込めてもらえれば少しなら力になれるかもしれない。
その子どもは、ゴシゴシと涙を拭うと真っ直ぐ拝殿へと向かった。
「こう?」
「そう。二拝二拍手一拝って言ってね、お参りの仕方があるの」
自分に対してなのだから、礼節は気にしないが、今後他の神社に行くときに知っておいた方がいいだろうと丁寧に教える。
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