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 男の子はウタの見様見真似で二拝二拍手をしてお祈りを始めた。 『松尾翔です。みんなが僕のこと好きになってくれますように。みんな、僕のことノロマって馬鹿にするんだ。どうしたらノロマじゃなくなるの?』  翔と名乗ったその少年の切なる願いにウタは胸を打たれる。  僕のことを好きになってくれますように。かつて、葵が願った想いに似ていた。  ぐすっと鼻を鳴らしながら顔を上げた翔は、少しだけスッキリした顔をしてウタをみた。 「神様、聞いてくれたかな」 「うん。きっと、聞いてくれたよ。ぼくの名前は、ウタっていうの。こっちのお兄ちゃんは、葵くん」 「おい」 「君の名前は?」 「お、俺、翔」  立ち去るタイミングを逃したのか、側にいる葵を巻き込む。不満そうだが、葵は黙って成り行きを見ていた。
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