神に愛された男の話

５

「ウタちゃんは、葵とどういう関係なの？」
「ぼくですか？」
「どういう関係もねぇよ」
「ぼくは、葵くんが好きです。そういう関係です」
「おま、バカじゃねぇの」
「なにそれ。葵の密会相手ってウタちゃんってこと？」

　目を輝かせる泉に、葵は慌てて訂正する。

「こいつが勝手に言ってるだけで、間に受けんな」
「ウタちゃんの片思いってこと？　こんな可愛い子に好かれてるなんて幸せ者じゃん」
「じゃあ、代わりに相手してやれよ」

　葵はそう言ってウタと泉を残して立ち去ってしまった。なかなか心を開いてくれない葵にシュンと肩を落とす。

「冷たいねー。ほんと、あんなやつやめて、俺にしない？」
「え？」
「俺も、男相手にしたことないけど、ウタちゃんみたいな可愛い子ならいける気がするなぁ」
「はぁ･･････」
「葵よりずっと優しくするし、大切にするよ」

　そう言ってウタの肩を抱く。ウタは戸惑いながら、どうすればいいのかと目を泳がせる。