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「泉!」  戸惑っていると、泉を呼ぶ声に視線を向ける。そこには、立ち去ったはずの葵が立っていた。 「葵くん・・・・・・?」 「バカやってないでお前もさっさと帰れ」 「えぇー。なにー。せっかく、ウタちゃんといいい感じだったのに」 「どこがだよ」  泉はそう言いながらウタから離れ、葵を追って行ってしまった。  二人を見送りながら、ウタは泉の言っていたことを思い返す。  葵をやめて泉にしないか、とは一体どういうことだろうか。  仲良くしようということなのだろうか。  もし、そうなのだとしたら嬉しい。ウタのそばには、ヤトやミトがいるが、人間のいう友だちという存在はいない。  他の神社のように人の管理者もいない。孤独を感じることも多い。  来てくれる人が増えるのは、嬉しいことだ。
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