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「こういうこと、したいってことでもあるんだけど」  そう言って、近づいた顔。顔を傾けると、ウタの頬に唇が触れた。 「ま、今はここまでで我慢かな」 「え・・・・・・」  そう言って、パッと身体を離した泉は、にっこりと笑う。 「じゃ、考えておいてね。初心なところも可愛いけど、俺、大人な関係がいいしね」  戸惑うウタを残して泉は去ってしまった。  唇が触れた頬にそっと触れる。いったい、あれはなんだったのだろうか。  人間のことは、よくわからない。でも、わからないままではいけないのかもしれない。  特別な好きとは一体なんなのだろう。ウタが葵を好きだと思う気持ちとは、違う気持ちなのだろうか。
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