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 人は、そうして子孫を残していくのか。ウタはそう理解する。  ウタは、葵のことが好きだ。それは、あの頃からずっと変わらない思いであった。でも、この気持ちは、一香の言う、どの思いと一緒なのだろう。  泉がいう、こういう好き、と言うのは一香が露木という先輩に対する好きと同じなのだろうか。 「そういう好きは、異性でなくても感じるもの?」 「え・・・・・・? あー、そういう人もいるみたいだよ」 「そうなんだ」 「好きの種類が知りたいって、ウタちゃんも恋してるの?」 「恋・・・・・・、してるのかな・・・・・・?」  これまで深く考えたことはなかった。神は人のために在る。自身の感情には疎くできているのかもしれない。神に恋愛は不要であるし、神は子孫を残しもしない。だから、そういう感情は必要ないのかもしれない。
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