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 それでも、ウタは知りたかった。知らずとも、人に寄り添うことも人の願いを聞き届けることはできるのだろう。多くの神がそうしているように。  それでも、ウタは知りたかった。人が好きだから。好きな人のことは理解したい。  そしてなにより、大好きな葵のことを理解したい。  そう考えた時、やはり自分が葵を好きな気持ちは、特別なのだと感じる。  そう思うとそれがすごく嬉しかった。 「なんか、スッキリした顔してるけど、何かわかった?」 「はい! ありがとう。とてもよくわかりました」 「ウタちゃんの想い、届くといいね」  一香の中ではすっかりウタは片思いをしていることになっているようだった。 「翔ー! 帰るよー!」  境内で遊んでいた翔に声をかけた一香は、戻ってきた翔の手を引いて帰っていった。
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