神に愛された男の話

６

「葵くん･･････？」
「･･････いや。俺も、言えなくて後悔してること、あるなと思って」
「言えなくて後悔してること･･････？　もう、言えないこと？」
「そうだな。もう言えないな」

　とても悲しそうだ。力になってあげたい。そう思うが、もう言えないということは、その後悔はもう晴らすことはできないのかもしれない。それでも、話すことで気分が晴れることもあるかもしれないのだ。

「ぼくに、話してはもらえない？　話を聞くことしかできないけど･･････。神として、葵くんの力になりたい」
「話したところで、もうずっと昔のことだから」

　葵はそう言って黙り込んでしまった。葵の力になれることは、なにもないのだろうか。