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 ウタは、どうするべきかと悩んだ。葵をそっとしておいた方がいいのか、側にいってもいいのか。成長した葵はウタにその心を見せてくれたことはない。だからこそわからない。  誰しもが寄り添ってほしいわけではない。  悩んだまま、一日が経った。それでも、葵の様子を少しだけでも見に行きたい。それで、もし傷つき悲しんでいるのなら少しでも寄り添いたい。その思いに駆られたウタは葵の家に向かった。  人は儚いものだ。人にとってのその人生は長いのかもしれないが、神であるウタにとってはとても短い。きっと、この先の未来には、葵との別れも待っている。そう思うと悲しい。自分が神である以上仕方のない別れであることはわかっているつもりではあるが、葵への想いを確信に変えた今、それがとても悲しいことのように思えた。
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