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「ウ、ウ、ウタさまっ!」
「わ、どうしたの。ミト」
「ミト、ウタさまの前でドタバタと騒がしいよ」
「ご、ごめんなさい!」
ヤトに言われ、慌てて姿勢を整えるミト。息を整え、ミトはウタを見上げた。
「あの人が来ています!」
「あの人・・・・・・?」
「ウタさまがいつも気にされている、あの方が」
「えっ!」
ミトの言葉にウタは声を上げた。あの人というのは、きっと葵のことだ。まさか。彼は、あの日から一度もこの境内へ足を踏み入れたことなんてなかった。
だからこそ、ウタはこっそりと前の通りを歩いている彼を見守るしかできなかった。
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