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 ウタは首を横に振った。ウタに願いをかけてくれた人の命の灯火が消えることはわかる。でも、死期がわかるわけではない。それに、知っていればウタだって平気な顔で葵の前にはいられなかった。 「神はそんな万能ではないよ。でも・・・・・・、お祖父様は、ぼくの神社に参拝してくれていたから。ぼくたち神は、人の願いによって生きてる。だから、自分に願いをかけてくれている人がいなくなったことは、わかるんだ。それはもちろん、忘れられたとか、そういうこともあるんだけど・・・・・・。でも、お祖父様とは最近まで会っていたし、忘れられることはないと思うから・・・・・・。だから、亡くなられたんだろうってことは、わかった」  ウタは、正直にそう話した。 「だから・・・・・・、葵くんのことを思うと、どうしたらいいのかって考えてたらなかなか会いに来れなくて・・・・・・」 「お前・・・・・・、神様だもんな・・・・・・。だったら、・・・・・・俺の願い聞いてくれよ」 「え・・・・・・?」  葵の震える声。キッと睨みつけるようにウタを見る。
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