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「神様なら、じいちゃんを助けてくれよ! じいちゃんがいなくなったら、俺、もう・・・・・・誰もいなくなる・・・・・・。本当に、一人だ・・・・・・」  縋るように、ウタの着物を掴み訴える葵の声と身体は震えていた。 「神様なんだろ・・・・・・お前、俺のこと好きだって言っただろ。だったら、・・・・・・俺の願い聞いてくれよ・・・・・・」  葵が、泣いている。いつも気の強そうな顔で、何にも感情を動かさなかった葵が。震えて、泣いている。 「でも・・・・・・」  でも。人の生死を伴う運命を変えてしまうことは神にも許されていない。許されてはいないが、できてしまうのも神だ。だからこそ、禁忌だとされている。 「頼むよ・・・・・・」  でも。これまで再会してから一度も神社でも祈ることなどしてこなかった葵が、こうして涙を流して頼んでいる。それほど、おじいさんが葵にとって大切な存在なのだとウタは知っている。
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