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 好きだなんて気持ちに簡単に応えられるまでの勇気はなかったが、ウタの想いを受けるのは心地よかった。  だから、これからも、馬鹿みたいに真っ直ぐなウタと、自分を無条件に愛してくれる祖父がいてくれれば自分の人生も、捨てたもんじゃないと思えるんじゃないかって。  それなのに・・・・・・。 「それから・・・・・・、葵くん、ぼくのこと忘れないでね。・・・・・・大好き」  そう言って、ウタはじいちゃんに近づいた。じいちゃんの身体に触れると、じいちゃんの身体が温かな光に包まれる。  目を疑う光景だった。本当に、生き返らせることなんてできるのか。  そんなこと、できるなんて思っていたわけじゃない。  でも。じいちゃんを失ったという絶望に、目の前にいたウタに八つ当たりをしてしまった。でも、その願いは、本当だ。じいちゃんが戻ってきてくれるなら、どれだけいいか。
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