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「人の運命を変えてはならない。それが神の掟だ」 「それを・・・・・・破るとどうなる・・・・・・」 「天の裁きが下される。神の力を奪われ、生まれ変わることもできず、消える。そもそも、力の大きくないウタは、裁かれる前に、力を使い果たし消えていただろうね」 「そんなこと・・・・・・こいつ、一言も・・・・・・」  いや、言わせなかったのかもしれない。自分は、ウタを責めるようなことばかり言ってしまった。 「お前の願いだから、聞き届けようとしたんだろう。消えるとわかっていても、お前を救いたいと思ったのだろう」 「なんで・・・・・・」 「なんで・・・・・・? お前は知っていたのではないか。ウタの気持ちを。お前の願いなら、叶えようとしてくれる、そういう思いがあったからこそ、願ったのではないのか」  責めるような声。突きつけられた現実に、否定することができなかった。  自分に、そんな思いが少しもなかったかと言われ、絶対にないとは言い切れないと思った。絶望にヤケになっていたし、現実を受け入れられず当たり散らした。ウタの優しさに漬け込む気持ちがなかったかと言われても、わからない。
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