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「なにしにきた!」  拝殿まで辿り着くと、飛び出してきたのは着物姿の子ども。これまでも、何度か噛みついてきたことがある子どもだった。おそらくこの子どもも人間ではないのだろう。  ウタがヤトやら、ミトやらと呼んでいた子だろう。  女の子であるこの子がどちらなのか、葵は知らないが。 「ウタに会いたい」 「ウタさまはお前なんかに会わない! お前のせいで! お前のせいでウタさまはっ!」 「わかってる。・・・・・・そのことも、謝りたいんだ」 「許さない! ヤトが許しても、あたしは許さないから!」  そう言って、持っていた竹箒を振り回す。葵は仕方なく退散するしかなかった。
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