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じゃあ、ついでに私も1
何をやってるって?
そんなのは決まってる、所謂、待ち伏せと言うやつだ。
ドラマや漫画で、たまには現実で、良くみかけるそんな当然の行動。
けれど、そう言う場面で、包丁を構えて肩を震わせている役柄、つまり主役は、私ではない。
私はしゃがんで、空っぽになったビールの缶を灰皿替わりにして、煙草を吸っている。
「…ちょっと、ちゃんと見張ってるの?」
「見てる見てる」
「…私の気持ち、わかるよね?」
「わかるわかる」
私の隣で背中を丸めて、少し身を屈めた彼女、ユウカが弱々しい、けれど深い哀しみを含んだ小さな声で話しかけて来る。
彼女は、その高くて細く、まるでモデルのような背を恥じることなど今まで一度だってなくて、いつもピンと背筋を伸ばして歩くカッコイイ女だったはずなのだが。
おかしいな、なんでこんなことになったかな。
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