第九話 守られるべき子供たち

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第九話 守られるべき子供たち

夏休みが近くなってきて、そう、期末テストが始まった。 早いと思っただろ?実際、普通の学校より早いし長い。まあその辺はまた後で説明するよ。 二日目の火曜日、俺たちは、本当に映画の世界を目の当たりにすることとなるのだ。 朝、じいちゃんと聿さん、それと兄ちゃん三人が新聞を見て何やら怖い顔で話している。 俺はそんなに興味がなかったから普通に学校へ出て来た、もちろん能天気な健はそんなのに興味なしだし。 俺たちはいつものように混雑する道、学校の前で下してもらい歩き始めた。 そこに一台の車が横付した。窓が開く。 「おはよう」 「うす」 「おは、どうしたの、いいのこんなところで」 運転手に行ってと言っておりて来たのは林君 今日のニュースを見たかと言ってきた。 「いや、新聞取られて見れなかった」 「お前はいつも見ないだろうが、なんかあった?マジで、今日見れなかったんだ」 「これ見て」と、カバンからタブレットを出した、俺たちは歩きながら、彼のカバンをもってやったりしていた。 そこにまた一台止まった、窓が開く。 「おはよう」 「みた?」 「いまから」 「俺もここでいい、君は先に控室へ」 よろしいのですかという声 「ここならみんないるからいい」 豊田君が下りて来た。 「何があったの?」 「ミサイルだよ、ぶっ放してくるぞ」 「まじで!」 アメリカの大統領が代わった、彼は強いアメリカに戻そうとしている、そのため、武器を大量に作り雇用を増やし、小国へ売り始めた。 日本は戦争を放棄した国だ、だから武器は表立っては買わない、だが事が起こればそれなりのものは使う。 スカッドミサイルの設置。 それだけで、この国は危険なんだとわかるけど。それまでの俺は縁もゆかりもなかったわけで。 テストが始まってすぐだった。 放送?スピーカーから声が聞こえ始めた。 男性の声? 「緊急避難情報・・・緊急避難情報・・・」 なんだ?学校がざわついた。 「静かに!」 よくさ、これはテストです、これはテストです。って聞いたことがある放送の声だった、国民向けの緊急放送?でもなんか訓練じゃなさそう。 するとビーというブザーのような音にみんなが顔を上げた。 「緊急、緊急、移動開始、緊急移動開始お願いします」  ガタンと先生が立った。  出席簿を開いた。  続けて同じ放送、緊急避難情報、落ち着いて行動してください、頑丈な建物に避難してください」繰り返し、外ではサイレンのようなものがなっている。  それと同時に後ろの扉があき、人が入ってきた。  土田さんが入ってきた、耳元で言う、荷物をもってすぐに出ます。 荷物? これは聞いていた。 カバンじゃない、緊急避難袋みたいなもんだ、ロッカーの上にある名前の書かれたスポーツバッグを手にした土田さん。  それでも俺はスマホやお金なんかがあるからカバンを手にした。  先生を見ると顔で向こうへ行けというような合図、テスト用紙はそのままで俺と豊田君が教室から出た。 後ろからは、静かに、テストを続けなさいという声が聞こえている。 そして隣の教室へ行き、健も連れだした。 俺たちは大人たちの後追う。 黙ったまま。 SPの部屋に次々駆け込んでくる、そう、あの日生徒会室にいた面々ともっと多い人がいた。 そのまま、どこかわからないけど、階段を下りていく。 すると地下駐車場に出た。 「こっちへ!」 その声にみんなが誘導されていく。 「こっちだ!」 スーツ姿の人たちの誘導。みんなが走っていく。 「下り坂です、きおつけて!」緩やかな下り坂、みんなのスピードがアップ。 ドーン! 後ろのドアが、次々重い音を立てながら閉まっていくのが聞こえる。 これがシェルター? そう思った。 俺だけ助かるのか、兄貴やマーは!母さんは!みんなは? 最後の小さな扉をくぐると、先に来ていた人たちが座っていた。 はあ、はあと息が上がる。 「土田さん平気?」 「はい、何度か来ましたが、結構長いですね」 彼は、運転手だけではないのがわかった。 席に着くと、ドーン、ドーンと凄い音がするのが聞こえる、ドアが、何重にもなったドアが閉まったのだ。 「それでは全員がそろいましたので、説明させていただきます」 まずは、これが訓練で終わればいいということを願いますと言われた。
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