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第十五話 会社訪問
次の日、指示された場所へ向かい、俺と健はドアを開けた。
「おはようございます」
ん?
何だ?
すると、ちーちゃんこっちという声の方を見ると、あのモデルの姉ちゃんたち。
「どうかしたの?」
あの暗そうな女子が降りたんだそうだ。
は?そんなことできるの?
わからないという、お金は下りない、ただ彼女の撮影したものは使えると思うがそれを上の人がどう使うかということらしい。
「撮影はじめるぞ!」
今日は成人式のスーツ、卒業、入学、就活なんかの撮影だ、彼女の分は姉ちゃんたちが補えばいいだけ。
何とか順調に終わり、後はカメラマンさん達と上の人たちが選ぶだけ。
「終わったー!」
「終了!づがれだー」
食事に行こうと誘われた。
スタッフさんたち。カメラマンさん達も全員で外へ出た。
連れて行ってもらったのはピザ屋さん、有名でまえチェーン店じゃねえぞ、窯がある、そこで焼いてるんだ、夏だから熱いー!
「かんぱーい」
まじ本場のピザ、並んでいるのが焼けるまではえーの、近くで見てるのが楽しい。
一人三枚喰えるなんていろんなのを頼んでシャッフルして食べた、本場に行きたーい。
姉ちゃんたちと盛り上がる。
そこでカメラマンさんにいっぱい写真を撮ってもらった。
ここで解散かと思いきや、俺は写真の選定に残り、健はロゴ制作で残ることになり、姉ちゃんたちとはここで別れたんだ。
なんかみんな忙しそうなのに、俺だけ場違い。
パソコンを見ながら、さっきの写真を見つけた。
それに文字を入れて遊んでいた。
「へー、いいじゃん、ちー、これ使わせろ」
そう言ったのはカメラマン。
「いいっすよ」
簡単に言ったのがその日のブログに使われた。これがまあ聿さんの目に留まることになってしまうのだ。
次の日の朝、母ちゃんに今日の予定を聞かれ何もないことを話すと、十一時に会社に行ってほしいと言われたんだ。
会社?どこ?
本店の上だという。
ふーん、別にいい、初めての場所に少し緊張しながら、土田さんの車に乗り込んだ。
「電車でいいのに」
「そこは安全面の為です、いいですか?一人の軽率な態度がどんな危険な事に巻き込まれるか、それを回避するためにも、こういう時は使っていただかないと」
わかったよと、俺は後ろの座席でふんぞり返っていた。
東京のど真ん中ではない、ここはさいたま市に近い所だ、大きなデパートが並ぶ、そのはじっこにで~んとある。
やっぱりでっけーよな。
家から電車でたった三駅なのになー。
それを見上げながら車は地下へと入って行った。
地下の駐車場に入ると、そこには大型のトラックが何台もあり、商品を出し、もうそこで何かをしているんだ。
へー、すげー。
するとある人と目があった、胸には食品営業、鈴木と書かれた、ちょっと年の行った叔父さん。
きおつけして頭を下げられたから、俺も頭を下げた。
エレベーター前には聿さんの秘書。
エレベーターに乗ると誰と聞いた。
「ああ鈴木部長ですね、食品の総合プロデューサーの様な方ですよ」
へー、プロフェッショナルだね。
ガ~と開いたのは最上階ではない、上から数えて五つ下で降りた。
ドアが開いて第一印象、せまっ。
縦はあるが横幅が狭いというより、物であふれているという感じだ。
古いドアは開けっ放しなのかいろんな声が聞こえている。
人が出たり入ったりしている、忙しそうなのはわかるけど…
奥に行く、どこかな?
プレートには社長室の文字。
そのドアをノックなしで開けた。
電話の音と人のざわめき、ただの事務所?職員室みたいな感じがした。
こっちだよと言う秘書の後を追う。
英語が聞こえる、こっちはフランス語?
「ああ、それで行こう、うん、オッケーだ」
聿さんの声が聞こえた。
パーテーションは古い銀行なんかにある様な物、それが途切れた。
「社長、お連れしました」
そこは事務所の一角、事務机の上に申し訳そうにある社長と書かれた黒いプレート。
まじで、ここが社長室?俺の想像していたのとだいぶ違う。
「座って、悪いコーヒーくれるか?」
はいと言って秘書の方がその場を離れた。
「あのー?」
「ああ、ちょっと待ってくれ、エーッと」
パソコンをこっちに向けたいようだ。
俺がそっちに行きますというとじゃあここに来て座ってと言われた。
社長の椅子はなんか安っぽく見えたが、そこにフェラーリのエンブレムを見た時、やっぱり社長の椅子すげーと思ったんだ。
マウスを動かすと、そこに出てきたのはアサヒフォトと書かれたもの、それを開けると。
「あ、これ」
聿さんは昨日写真を見た時に、カメラマンさんのメールでのやり取りの時にブログの話が出て開けたら、俺がやったんだと言って、みんなの写真について話を聞かせてくれと言うんだ。
どういうこと?
「これを見てくれるか?」
そこはカリオンのホームページ。
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