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第二十話 全国園芸甲子園開幕!
夏休みが終わった。二学期、俺たち園芸部は、夏の盛りの野菜を片付ける手伝いをしていた、クラスでもよく焼けていた俺たち、みんなはどこの国へ行ってきたんだと聞いていたが、黒い奴らは、ほとんどがうちのプールか、隣の畑、まあ、いろんなことをして有意義な夏休みだった。
「では、ここからは、秋に収穫するものを植えていきます、文化祭、稼ぐわよ」
「おー!」
その日はみんなが待ち構えていたものが届いた。
生物室に集まった園芸部員、その前で、部長が、その封筒を開けた。
「お題、九州、熊本!」
「あたり!」「やっぱりな」「山当たったー」
「では、アクアリュウムは、え?」
「どうかしたんですか?」
「学校対抗戦、お題、人魚姫の世界?」
学校対決?
「水槽の大きさも書いてある、大きいよ」
「どうする?」
「どうするって・・・」
まあ軽トラで運べばいいだろう。
運ぶのはいいけど、ほかに規定は?
「え、ああ、植物は二十種類以内、砂の高さや、細かいことも書いてあるけど、先生、水槽の大きさに対して、植物少ない」
「少ないのはいいが、それより肝心なの忘れていないか?」
あ、そうだ、エントリーは、写真撮影で各学校二作品まで、選考会があって、規定作品、お題に関するものは学校一作品。各県一校に絞られ、代表校は、当日九時までに搬入展示、その後は一切触れることを禁止する。アクアリュウムは、代表者三名で、三十分で競技を行う準備に関しての人数は規定なし。
俺たちはそれをただ聞いているだけしかなかった、先輩たちは少なくても一度は参加しているわけだから、ざわめくのはわかるけど、なんだか大変そうだな?
東京、神奈川、埼玉、大阪、名古屋の人口集中場所は三校、個人は二人とする。また、アクアリュウムに関しては一校より、二チーム選ばれた時は、上位の方が出場権利取得、次の学校に出場権利を与える。
「じゃあ、三校に選ばれればいいのね」
「個人は二人、間口が広がったな」
「なあ、三十分、どこからだよ」
「植え付けと、水が落ち着くまで、ウソ―、無理」
水槽や砂利、もろもろのものは用意されるようだが合格と同時に細かいことは知らせるらしい。
「ウソだろ?」「でも待って、この間のアクア金魚さん、どれくらいだった、結構早かったよね」「準備だけすればいいって」「動画ある?」「ある」
後で見ようということになった。
「お題は?」「お題、ああ、エーッとそっちはいつもとお…同じじゃない、こっちは規定が小さくなってる」
「どういうことだ」「ちょっと待って、大きさ書くは」
それはいつものよりも一回り小さくなっていた。
「ミニ盆栽?」「やられたなー、どうするよ、今から間に合うか?」
「チー、作業場、あそこに、隣の寺からもらったものがあったな」
「あ、はい、あれならなんとか」「よし、こっちは任せろ」
「それじゃあ、こっちね、あと個人、海外の出品もあるのか。」
みんなが、資料を覗き込む。
すごい規模だ、ドームでやる世界の蘭展、海外の有名なアーティストの展示。
その横で開催されるのが俺たち、園芸の甲子園だ。
去年までと全然違うと先輩は言った。すべて、写真での応募、選考があって、県で代表が出すことができる。
個人で出せるのは、フラワーアレンジメント(洋花)花瓶(大きさ色に規定)自由作品(一メーター四方以内)、生け花、生花(大菊)と自由花(水本の大きさに規定)、盆栽、松、自由作品、アクアリュウム、植物三種(入れ物規定大きさあり)植物十種(水槽規定あり)。各種、学校代表一名。ただし、団体戦出場をしなければ、無効。
生花に関しては合格者は当日、別室で生けて会場入りするんだそうだ。まあ写真だけじゃよその人が作ったって文句言えねえしな?
「厳しいね」「団体が出れば、個人で出せるのか」
「反対に言えば、団体はどうでもいいけど、個人で頑張るっていう学校もあるってこと、写真で落ちるの前提でいいんだもん」「えげつねー」
「でもね、部員がこんだけいるって幸せなのよ、うちらだって一年がいなかったら廃部だったんだからね」「まあそうだけどな」
先輩がパラパラと資料を見ていた。
「はー?」それに反応するようにみんながのぞく。
「木村のじいさんだ」「なんかそうそうたるメンバーだな」
先生ものぞいていて聞いた、誰?
審査委員は日本の重鎮たちが名前を連ねているという
「こりゃ今年から、お前のせいで、変わっちまったか?」
俺の頭の上に手を乗せわしゃわしゃと頭を触られた。
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