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私が生まれるタイミングで新築したこの家に、遠方から祖父母も移り住んだ。
研究に没頭する父は、結婚前から天涯孤独で経済力も無く、家も家計も子育ての援助も全て祖父母が担っていた。
出産を機に大学辞めたお母さんは、日々の研究に勤しみ研鑽を重ねる父を心から尊敬していて、赤ん坊の私が父の研究の妨げになる事を心から嫌がった。
「アイのことは私にまかせてください。研究の合間に、少しだけ愛してくれればいいですから」
自然と私につきっきりになるお母さんからの愛は、私の全身に浴びせられた。いちばん身近から慈しみの視線を感じて、母性の全てに包まれて私は育った。
だから、目覚めたらお母さんを探したし、食事はお母さんの手で与えられて、悲しい時は抱き締められ、お母さんの匂いに包まれて眠った。
私はお母さんが大好きだったし、お母さんから貰える愛の全てが絶対的なものだと信じていた。
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