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「僕は勉強が得意だ。点数も取れる。そしてアイちゃんは、これまで点数が取れなかった。和田くん、君がそばにいてもね。どうだろう? 放課後だけでいい。僕がアイちゃんに勉強を教える時間をくれないか?」
「アイに話し掛けない約束はどうした」
「そのままで構わないよ。僕が一方的に話す。アイちゃんは聞いてるだけでいいんだ。心配なら和田くん、君もそばにいればいい」
やっぱりぽつねん。
私のことを話している筈なのに、置いてけぼりにされた。
あー、あんぱん食べたい。
「勉強なら俺がアイに教える。今までもそうしてきた」
「じゃあ聞くけど、アイちゃんにちゃんと勉強教えた?」
「……いや、今までは聞かれたこと無かったし」
「ほら。ちゃんと教えないと。ひとりじゃ点数上がらないだろ」
「む、無理矢理教えるのも迷惑だろ」
「あ……あのさ!」
不毛。
とりあえず制止。
当事者が取り持つ、謎の和平交渉。
「えーっと、勉強は私ひとりでやるので大丈夫、です」
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