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 疑問。  毎日少しづつ勢いを増すこの妬みや嫉みの類が何の反応を見せない私への当て付けだとして、最も少ないエネルギーでそれを劇的に変えられる方法は?  空腹で少々心が逆立っている今日の私は、それを検証する事にする。普段の私なら、きっとそんなことしない。胃袋の偉大さを思い知る。  文庫本に視線を置きながら、黙考。分析。  そうね。ターゲットはあの3人グループかな。一番声が大きいけど、喧嘩するような勇気はないミーハーな小集団。小さいピンクの弁当箱を中心に、私への悪口をおかずにしているだけの子達。  よし。検証。  私は顔の角度は変えず、視線を文庫本から3人グループに移しそのまま睨みつける。少し間を置くと、彼女達の動きの硬化が確認できた。  面白い。  私はそこから、左の口角だけを目一杯引き上げる。唇の先からギリギリ歯が見える程度に開いて、フッと少しだけ息を吐いた。 「……きも……」  3人グループは、視線を中央のピンクの弁当箱に移し、俯いて押し黙る。ヤバいってアレ、とか小さく話す声が聞こえるのを確認して、私は文庫本に視線を戻した。  検証結果。  あのタイプは、サイコを気取れば駆除できる。
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