122人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は、朝練は無かったの?」
「ん、サボった」
「……どうしてこう、私を構う人達はサボりたくなっちゃうのか」
「え?」
「お父さんがね、自分が休みだからって、今日お母さんのお墓参りに一緒に行こうって」
「平日だもんな。今度、俺も一緒に行っていいか?」
「うん。私も、蓮太と一度一緒に行きたいって思ってた。お母さんに伝えたいこともある」
「え? 何かあった?」
「うん。昨日さ、お父さんとたくさん話したんだ。たぶん、初めてあんなにお話したと思う」
「そうなんだ。よかったな。何かいい話聞けたのか?」
「うん。とびっきりの、素敵なお話」
「へえ。聞きたい。どんな話?」
疑問が生じた。
父とお母さんのあんなに素敵なお話を、友達にどんな話と伝えればいいのか。
疑問が生じたら、すぐ検証。
友達は、素敵なものを端的に伝えても、私の表情で読み取ってくれるのか。
私は人差し指を立て、自分の顔を指して答えた。
「“愛”のはなし」
頭の上に?マークを付けて、蓮太は口を『~』みたいにして首を傾げている。
結論。演算速度は遅いが、きっと友達は読み取って理解してくれるだろう。
◇
最初のコメントを投稿しよう!