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もっと奥に行けば、生徒会室か、なんだかこの通りだけ別の世界だな?
両脇にあるのは先生方の個室?だろうか、各教科で別れた部屋が続いていく、職員室もあるけどね。ここは大学生なんかも出入りしているから、ドアが開くたび、コーヒーのいい香りが漂ってくる。
「まじ?」
「ちゃんとしたお茶室だわ」
「すごいね」
部屋の中に石!ウワー、なんだ、部屋の中に家がある!大きな石の上を歩き家のような建物の扉を開けた。
カラカラカラ。
おじゃましまーす。
畳の匂いがする。
「失礼します、あれ?誰もいないのかな」
「置いて行く?」
「いいんじゃね」
カタンと音がした。
見たいという菊池が小さな窓、躙り口と言うところをそっと開けた。俺たちのその後ろからのぞいた。口に手を当て、驚いたように中を見てるように見えた。
目線が奥に行く、俺は菊池の目に手を当て、そのままバック。
「チー」
「しっ、豊田行こう、女子は下がれ、田中、田中!」
ニヤニヤしながら覗くし、彼女は動けないでいた。
「見ないほうがいい」
俺はみんなの背中を押し、豊田は田中のジャージを引っ張り部屋から出た。
「あいつ、まったく、気が付いてないのかよ、大丈夫か?」
コク、コクと腕の中でうなずく彼女を引っ張り出し、廊下へ出た。
「何してたの?」
「まったく、やってんだよ」
「目の毒だ」
中で、男性の上に女性がのっかっていた。それだけでわかるだろ?
「菊池大丈夫か?」
「うん、びっくりしたー」
「よかった、泣くような奴じゃなくて」
「もう、やめてほしいよ、学校だよ」
「行こう、もういやだ」
田中には見過ぎと言ったらみられるのが好きなんだろうだって、そしたら菊池に叩かれてた。
「行こう、行こう」
俺と、豊田は、こういうことかと思ってしまった、中にいたのは晴彦、女は教師か、秘書か、そんなところだろう、お前ら、ツイッターなんかに書き込むんじゃねえぞと口止めはしたものの。どこでどう、知られることやら。
そう、兄貴と聿さんは本家にあいさつに行ってきたのだ。彼は三男、上には兄と姉がいる。だからかどうでもいいとこがあるようだ、大学もぎりぎりで、お家柄は二の次、金も使いたい放題、だが、頭は切れるらしく、自分で仕事はしているらしい、水商売的な。
名刺をもらってきたそうだ、新宿で、ホストクラブとホステスのクラブを持っているらしい。
女遊びがひどくて、手を焼いているのも事実、だから聿さんには、上の二人はいいが彼には近づかないほうがいいと言われたそうだ。それを俺は、林と豊田にも話しておいたんだ。
だけど、こんなところでやってるなんて思いもしなかった。
「なあ、お前DT?」豊田に聞かれた。
「当たり前だろ、お前は?」
俺もだというだけど、あんなところでよく冷静でいられたなと言われた。まあ、免疫はついてるしな、というとへーと言っていた。まあそれは内緒という事で。
教室に入ると早速“先輩聞いて”と走っていきやがった、まあ仕方がねえか。
「豊田、木村、生徒会がお呼びだ、来てくれってさ」
「まさか、今の事かな」
「さあな、いいんじゃね、知らねえで」
部屋には、健と林がもう来ていた。俺たちの前に、紅茶が出て来た。
そこには、魅録さんと、女子が二人、それと男子が二人いた。
「忙しいところすまない、四月に入ると総会をすぐに開く、二年と三年だけだ、そこで君たちには、新生徒会として卒業生たちから任命を受けてもらう」
「日にちは、三月十日、卒業式の予行練習後、講堂で行います」
「それと、卒業式後は、部活へは行きにくくなるから、各部長へはわたくしどもから連絡を入れておくわ」
魅録さんは、顎で合図をすると、一人の男性と女性が残っただけで、あとはいなくなった。
三人が俺たちの前に座った。
「私は、千弘君から聞いて知っているだろうから二人を紹介するよ」
女性の方から。川島南さん、弁護士会会長の孫、家族、親戚全てが、弁護士や検事なんだそうだ、そして、四井宗一郎、名前でわかるだろうと言われた、四井グループの御曹司。
「今、きみたちと対等に当たるのは、私たち三人だけだ、さっきのは、まあ、秘書というところか」
「それ以下ね、まあ頭はいいから使っているけど」
「南はきついからな、まあ、これから一年頼むよ」
正味俺たちがかかわるのは、十二月のパーティーまでだ、一年、忙しくなるが頼む。
「あの?何をするんでしょか?」
「別に、たいしたことはしないわ」
まずは顔見世だ、次、この学園を仕切るのはきみたち四人、ちゃんと覚えてもらう。
「それと、去年、あなたたちは好きなことができた、それは、私たちが守ったから、今度はあなた方が次の守るべき者たちを守るの」
守るべき者達を守る?それはどういうことですか?
「そうだな、簡単にいえば、学園内で起こる火の粉を遮る、とでも言っておこうか」
「火の粉?火事になる前にけしたっていうことか?」
「そうだ、宗一郎、あれを」
ポケットから一枚の写真を出した。
俺と、健は声をあげた。
「彼女は、モデルの、伊藤詩織、産業スパイだ」
「若く見えるけど、三十だよ」
「まじ?」
「学生だって」
彼女はカリオンのモデルに入り込み、大手通販会社の商品とわざと合致するように仕組んだ。だが結果、健の手腕が発揮されることとなり、彼女は失敗に終わった。
「ちょっとしたすきを狙う、俺たちは、こういうものも排除する手助けをする」
「広大なネットワークを通じてね」
「俺たちはもうどこかでつながってるんだ、魅録は、千弘と健、俺は、信成君、南は、林君とね」
何かしらでつながっているという、親戚だけではない物だそうだ。
「そして、私たちは、新たに、ここで交流を深め、この七人はまた枝葉を広げ人と結びついていく」
電話が鳴った。
はい、はい、わかりました。魅録さんは俺の方を見た、なんか関係あんのかな、ドキドキする。
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