第二十三話 面接官

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「来週は?」 「仙台だって」 「いいなー、牛タン、食べたい」「お肉!」「焼肉食べたい」 「そういやバーベキュウしないで終わったな」 「家の中じゃしないわよ」「エー、外は?」 「さむいから嫌だ」「冬は焼き肉したことないね」 「鍋?」「しゃぶしゃぶ?」「すき焼き!」「すき焼き食べたい!」 「それじゃあ明日にしましょう」「やった、肉だ」「卵忘れないでね」 なんだかアットホームというか、こうしてみんなが集まる事がないからだろうけど、肉だけでこんなに盛り上がれるんだもんなー。 「さて、風呂行くぞ、入ってないの誰だ」 「行くー」「お父ちゃん行く!」チビたちは父さんと風呂に行った。 大きな欠伸をした。 早く寝なさいの声。 「母ちゃん」 何? 「札幌で、時計台見てきたんだ」 「あら良かったわね」 「すごい小さくてさ、びっくりしたんだ」 「そうなの?」 うんと言って写真を見せた。聿さんの大学時代の友人でも今はカリオンの社員。 「そういえば、彼、尾崎さんじゃない?」 やっぱり知ってるんだ。 四人だけじゃないけど、聿さんの親友たちは、信頼されてる、本社の重責にいるんだそうだ、日本中、世界中を走り回っている、凄いわよねと。 あのさ、と母ちゃんにその時の感情を話した。 「とうちゃんの事は忘れない、でもこの頃忘れそうになる、聿さんに肩をギュッて抱かれた時、俺の父さんはここに居るんだって思ったんだ。そう思ってもいいよね」 母さんは俺の隣に座り、スマホを握る手を取ってこういったんだ。 「私は、二人の男性に愛された、そして子供たちも二人の男性に愛してもらった、そしてチーちゃんがそう思ってくれた、母さんはそれだけでうれしい、ありがと」 そういって北海道で撮った写真を二人で見たんだ。
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