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第三章 水曜日
未来は、それなりの仕事について、貧しくても毎日笑える家族を作って小さな部屋で一生を終えればいい。平凡で、波風の立たない、つまらないかもしれないけど、精一杯生きたと思えればそれでいい。
そう、思っていた。
その思いは、母さんが再婚したことで打ち砕かれた。
私立高校に入り、それなりは一転。平凡?俺にとってそれは天上界の事の様で、波風の立たない時なんてなくて、一歩でも外に出たら、嵐の中に投げ出されたような、不安なんて考えている暇もなく、一日はあっという間に過ぎていく。
生徒会に強制的に入れられ。俺は守られるものだと言われ。その意味を分からないまま一年を、園芸部で楽しく過ごした。
だが冬休みが終わると、俺たちは、もう二年生として動き出す。
知らない大人に腹が立った。この国を動かすことのできる人たちだと言われたが。俺にとってはそんなのはどうでもよかった。俺が生きて来たことが何もかも否定されたみたいで胸糞が悪かった。
この学園を牛耳るものたちとして、学園のトップにいるのだということを知ってほしいと言われた。
そしてこれから出会う人たちとのかかわり方。俺の未来は、この大人の手の中で転がされるしかないのかと、考えさせられた。
俺の未来はもう、見えなくなっていた。
俺は、俺じゃないのか?
俺は。
俺は!
俺だ!
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