case3/絶望も突き詰めれば希望である

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その日にオーナー室の前を通ったら、少しだけ扉が開いていて話し声が漏れてきた。 別に盗み聞きするつもりもはなかったけど俺の名前が聞こえてきて思わず足を止めた。 声は途切れ途切れしか聞こえなくてもどかしい。 オーナーともうひとつは知らない声だった。 新人、借金、と単語が聞こえてくる。 知らない声が淡々と話していた。 臓器、売買、殺され、と耳が拾った瞬間に血の気が引いていく。 知らない声は俺をここに連れてきた組の人間かもしれない。 聞いてるのが見つかったらなにされるかわからないからこっそり逃げた。 心臓がばくばくうるさくて勝手に息が荒くなった。 どうしようどうしようってそればかり頭に浮かんで、どうしようもなくて怖かった。 とにかくここで使えるようにならないと俺の未来はないらしいというのは分かった。 俺はシャワー室に駆け込んで、悲しいことに多少は慣れた洗浄をした。 それから仮眠室に常備されてるローションを使って初めて自分で触ってみた。 祐也がいつもするみたいに軽く揉んでみるけど自分の指でもやっぱり気持ち悪い。 ローションのぬめりで無理やり指を押し込んだら痛くて苦しくて涙がボロボロ出た。 ぎゅうぎゅう締め付けられて指の血流止まってる気がする。 吐きそうだったけどえづきながら必死に堪えてなんとか指動かそうとした。 でも指は全然動かなくて、抜こうとしても痛くてどうしたらいいか分からなかった。 そのままどうしようもできなくて情けなく泣きまくってたら、どうしたのって祐也が来てくれて指を抜いてくれた。 指はジンジン痺れてて突っ込まれてたところも痛くて気持ち悪かった。 俺はわけわかんなくなってて祐也に謝りながら泣いた。 もっと俺がうまくできたら祐也も困らなかっただろうに。 俺が自分でどうにかできていたらこんなことにはならなかったのに。 祐也はうんうんって聞きながら服直してくれた。 もういいから寝なって言ってくれて、寝かしつけられた。 最近まともに眠れてなかったから毛布被せられて背中撫でられてあっさり眠ってしまった。 俺は久しぶりに長く眠って、ちょっとだけいい夢を見た。 次の日、祐也が突っ込む方を試してみろって言った。 男に突っ込むなんて背筋がゾッとする。 でもそれなら自分がやられるよりはまだいいかもしれない。 祐也が目の前でどんどん服を脱いでって、俺はぽかんとしてしまった。 自分じゃ動けない俺に、祐也は自分でローション出して指突っ込んでた。 祐也もここで働いてるんだからそういうことするんだっていうのは知ってたけど、実際に見るのは初めてで俺は呆然としてしまった。 そんなとこ入らないもんだと思ってたのに祐也は指三本突っ込んでぐちゃぐちゃいわせてた。 とろんとした顔して声上げてるのがいつもの祐也と全然違って怖くて、俺は戸惑うばかりだった。 祐也のは触ってないのに勃ってて、気持ちいいんだって思ったら気持ち悪くて、俺もこうならなきゃいけないんだって思ったらゾッとした。 頭はどんどん冷えていって俺は少しも興奮してなかった。 祐也は俺の顔見て少しむすっとした顔をして、それがいつも通りの祐也だったからちょっと安心した。 祐也は汚れてない方の指で俺のベルトを簡単に外して、萎えた俺のを躊躇なく咥えた。 なんとか勃たせなきゃって思って、俺は目を瞑って昔見たAVの場面思い返してがんばった。 何回か女を抱いてるうちにコツをつかんだからか、多少は自分で制御できるようになっていた。 祐也は悔しいくらいにうまくて、すぐ勃った。 同じ男だからか、今まで女がやったのより格段に気持ちよかった。 ジュルジュル音立てて強く吸われるとたまらない。 口が離されて、祐也が俺の上に跨った。 びっくりするくらい簡単に飲み込まれて、その熱さと狭さに俺は思わず声を上げそうになってた。 祐也が好き勝手に動いて、搾り取るみたいにうねる中がすごくてすぐにイきそうだった。 目瞑って歯を食いしばって耐えてたけど結局すぐに射精してしまった。 ここ最近で一番気持ちよくて、ぼんやりしながら目を開けたら祐也が満足そうな顔して笑ってたのが不覚にもちょっと色っぽく見えた。
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