私はあの日の自分を許せない

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「許さないからね!」そう私は親友に言って走り去った。とある日の軽い口喧嘩のはずだった。でも、あの日ことが、あの日の言葉が、あの日そういった自分が5年たった今でも、許せない。 親友のことを思い出すと、帰り道で愚痴を言い合ったこと、プールにでかけて門限破って怒られたこと、宿題を手伝ってもらったこと、委員会が一緒で嬉しかったこと。とにかく色んなことを思い出す。でも、最後に思い出すのはこのことだ。そして後悔とともに自分を許せなくなる。 だって、その親友にごめんなさいが言えなかった。言えなかったから。仲直りができなかった。軽い喧嘩のはずだったのに、私が走り去った後、あの大好きな親友は車にひかれて亡くなった。呆気なく。 だから、私は、謝れなかった。そして謝れなかった自分を許さない。
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