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「――北斗。北斗大丈夫……?」
ハァハァと肩で息をする北斗の顔を覗き込む。
「3分っていっただろーが!」
「え。過ぎてた……?」
「4分27秒だ!」
「ご、ごめん!」
北斗は霊力を使って私を両親の夢の中に連れて行ってくれた。
直接言葉を交わすことは叶わなかったけど、夢の中でおしゃべりができた。
伝えたいことも伝えられた。
「北斗、ありがとう」
霊力を使うのは苦しい。2回身をもって体験した私にはわかる。
それが長い時間ならなおさらのこと。
私の為に辛い思いをしてまで両親に合わせてくれた北斗には感謝しかない。
「本当にありがとう」
「別に」
素直にお礼を言うと、北斗はぶっきらぼうに言ってプイっと私から顔をそむけてしまう。
北斗はいつもそうだ。
意地悪なことを言ったりすることもあるけど、根は優しい。
いつだって私のことを陰で支えてくれている。
「私……これからもここで一緒に図書館の仕事をしていいかな?」
「なんだよ、急に」
「帰るところ……ここしかないから。それで……」
「バカ言ってんなよ」
「え?」
「お前の居場所はここだろ」
「私の居場所……?」
「そうだ。俺とお前の居場所。これからも一緒に仕事するぞ。いいな?」
北斗と目が合う。
「うん!!」
私は大きく返事をした。
「……――あ」
そのとき、図書館の窓の外で黒い何かが動いた。
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