1人が本棚に入れています
本棚に追加
「北斗、ちょっと待ってて!!」
「おい、リリカ?」
慌てて駆け出して図書館の扉を開けると、ララがいた。
ララは私の前までゆっくりと歩み寄る。私はララを抱きかかえた。
「ララ!?ちょっと、どこにいってたの!?」
「色々忙しくしてたの。芝生の上で横になったり、太陽の当たってるところで日光浴したり、車の上でストレッチしたり」
「ほとんど寝てたのね?」
「まあそうともいうわね」
ララがちらりと図書館に目をやる。
「あっ、そうだ!北斗にララを紹介しないと」
ララを抱っこしたまま図書館の中に入る。
「北斗、あのね、この子ララっていってうちで飼ってた猫なんだ」
「ん?」
背中を向けていた北斗が振り返る。
すると、北斗が目を見開いて固まった。
「ね、ね、ね」
「うん?」
「な、なんでいるんだ。ね、ね」
「猫のこと?」
「お、俺猫だけはダメなんだ!!」
そう叫んだ北斗。
すると、ララがぴょんっと跳ねて床に降りると北斗の足元にすりすりと体をこすりつけ始めた。
「やめろよ!!猫は無理なんだ!」
「どうして~?わたしこんなに可愛いのに」
ララは楽しそうに北斗の足元から離れない。
「子供のころ、猫に追いかけられてひっかかれてから無理なんだって!!」
「そんなに嫌がらないでよ。神様にリリカちゃんとララの話きいてたんでしょ~?」
「俺は嫌だったんだ!猫が大っ嫌いだから!!でも、それじゃリリカが一人に……」
そこまで言いかけてハッとしたように北斗が口をつぐむ。
「えっ、どういうこと?」
そう尋ねると、ララが胸を張って答えた。
「北斗ってば昔から猫ギライなくせに、この図書館にリリカちゃんがやってくるってことになって『猫も一緒に』って神様に掛け合ってくれたみたいよ?」
「そうなの……?本当に??」
私がララを抱き上げると、北斗はホッとしたように息を吐いた。
「それは……。いや、でも、それは図書館の外での話だ。館内には猫をいれないでくれ」
「あ、だから初めて会ったときあんなことを……?」
あのとき、北斗は腕を組み私の周りをジロジロ見ながら一周して言った。
『何も隠してないな?』
『フワフワしたものだ』
『ここは普通のの図書館じゃない。でも、ルールは普通の図書館と同じだ。それをよーーく頭に入れておけよ』
要約すると、図書館の中に猫を入れるなということ。
「猫を入れないでって言ってくれればよかったのに」
「その言葉すら出したくなかったから」
「なによ、それ!失礼ね!!リリカちゃんがいなかったら、ひっかいてかみついてるところだわ」
ぷんぷん怒っているララを見て顔を歪める北斗。
「あはは。なんかララと北斗っていい関係になれそう」
「なれねぇよ!!」
「なれないわよ!!」
二人の声が重なる。
「あははは!!やっぱり!」
お腹を抱えながら笑う。こんな気持ちになるのは久しぶりだ。
「さてと。仕事しなくちゃ」
ララがあたしの腕から床にジャンプして図書館の扉方へと歩いていく。
「どこにいくの?」
「悩んでる子がすぐ近くにいるの。その子をここまで案内するのがララの仕事」
「また来るんだね。悩める子が……」
ララの背中を見送ってふぅと小さく息を吐く。
最初のコメントを投稿しよう!