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「ねぇ、北斗。北斗はどうしてこの仕事を引き受けることにしたの?」
この世への未練を解消すれば天国へ行ける北斗が大変なこの仕事を続ける理由はなに?
「自殺予備軍の人間を死なせないためだ。俺が生きたかった時間と命をみすみす捨てさせたりしない」
「そっか。それで……」
「俺は究極の負けず嫌いだからな」
北斗はニッと笑った。
「……あのさ、北斗は私がどうやって死んだのか知ってるよね?」
そう尋ねると、北斗はほんの少し目を見開いた。
北斗には話していないのに、両親のことも知っていた。
きっと最初から北斗は私の情報を全て知っていたに違いない。
そして、わずかな間のあと小さくうなずいた。
「そっか。だよね。隠しててごめん」
「いや、リリカが謝ることじゃない。俺も黙ってて悪かった」
「ララを一緒にって言ってくれたのも私のことを思って?」
「まあ……」
歯切れの悪い北斗。
「お前のことも救いたかった」
北斗は悔しそうに言うと、グッと拳を握り締める。
「俺達はもう一人じゃない」
「え?」
「俺は自殺予備軍の命を一人でも多く救いたい。リリカは100人の悩みを解決して天国へ行きたい」
「うん」
「俺達の進むべき道は同じだ」
「そうだね。一緒に進んでいこう」
「あぁ」
目が合うと私達は決意を込めてうなずいた。
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