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初デートは、いつにも増して俄然、気合が入った。あまり物を買わない俺が、デートのためにと新しい靴とバッグを買ってしまったんだ。どちらもいい艶が出ている革製品だ。清潔感の洪水じゃないか、これ!
ウキウキってこの動悸のことか? と思いながら、とある駅で待ち合わせをする。
今日は映画を観る予定なんだ。アクション映画らしい。映画も楽しみだ。
定刻の10分前に彼女は到着した。
予想通りの白いワンピース。きっちりとしたサラサラ黒髪ストレート。笑顔が可愛い。歯が眩しく白いぞ!
「行きましょうか」
俺は紳士ぶって言った。俺の外観からはこんな雰囲気で話すことがきっと似合っている。
「はい。映画、楽しみですね」
ふふっと笑う彼女。
はい。清楚 清楚が爆発 かわいいいいいい
っていうコメントが彼女を背景にして流れる、ような気がする。
「ニコニコ動画かよ」
「え?」
思わず口走ってしまった俺に、彼女は驚いたように上目遣いで疑問を投げかける。
「あ、いえ…。なんでもないです」
余計なことを口走った俺に、彼女はまた微笑みをくれる。
あれ? この子は女神なのかな?
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