器屋(うつわや)

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席を立ってしまおうかと思った。 こんなイライラを我慢するくらいなら途中退席したい! でもここは我慢だ。 俺は大人だ。 大人だろ? 我慢するんだ。 ボーリボーリ… これ以上耐えられない!! そして、俺はポップコーンの箱に蓋をするように手を。 置いてしまったんだ。 もうポップコーンには手が届かないだろ、 これで。 彼女は手を突っ込んできたが、俺の手にあたりポップコーンは諦めたようだ。だが、何を思ったか、俺の蓋している手の上から彼女の手を重ねてきたのだ。 うわぁぁぁぁぁぁ、やめてくれ! ポップコーンを食べたベタベタな手で俺の手を触らないでくれー! 全く。 泣きたくなった。 なんだこのストレスは。 彼女もダメかー。俺の壁を超えてくることはなかったか。許せないことをしないでほしいだけなのに。俺の期待を返してほしい。 というより、 手をただ、ただ、洗いたいぃぃ。 映画が終わり、あんなに眩しく見えた彼女はただの女子になってしまった。 いや、俺なんだ。俺が許せれば「彼女」になれたんだろうに。 「ポップコーン、食べちゃダメでした?」 「うん、ダメでした」 …って言うな、俺っ! 沈黙が流れる…。 「映画楽しかったね、じゃあまた!」 俺は手を振り、逃げるように走った。。 彼女は唖然としていた。 俺のこと、あきれたんだろうな。 いろんなことを許せない俺は、とぼとぼと。 とぼとぼと。 歩いて帰った。 この性格をどうにかしないことには、俺は幸せになれない。 でもどうしたらいいんだか。
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