第1話 stars-in-stones

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 なんていろいろ回想していたら、もう5時前になっていた。カノンの楽譜も見終わって棚に戻すと、台所に立つ。しゅんくんが今日は洋食の気分だ、と言っていたから、主食は食パンにしよう。卵があるからスクランブルエッグとか作って、薄いベーコンを焼いて、スープは缶詰のコーンでコンソメにしよう。もやしも入れよう。サラダは…キャベツとトマト適当に盛りつければいいか。コーヒーも作って半分残しておけばいいや、しゅんくんはアイス派だし。  おばあちゃんと2人でしゅんくんの家に住むことになったときは、色々と大変で部活をしていなかったから、平日は僕が家事、しゅんくんが事故で半身不随になったおばあちゃんの介護を、休日はその逆をしていた。おばあちゃんは僕が3年に上がった春に末期がんが見つかり、卒業を見届ける前に亡くなった。  高校に入ってから、しゅんくんはたくさん僕にやりたいことをさせてくれた。バレー部に入って、たくさんの仲間たちと青春を謳歌することができた。"moderate"でバイトするのも快諾してくれた。お洒落についてもいろいろ教えてくれた。そんなしゅんくんに早く恩返しがしたくて、就職することにした。しゅんくんは「お金のことなら気にしなくていいのに」と言っていたが。
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