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神さまにかかれば、ラジオも神具になるらしい(5)
今日もやっぱり蒸し暑い。みんみんうるさい蝉の声をBGMにしながら、お昼のお供のカフェオレをすする。
稲荷神社で録音したはずの中身は、結局何も残っていなかった。羽虫や小狐と一緒に大正時代に行ってしまったのかもしれない。
今はそのお詫びも兼ねて、当日のことを詳しく親友に話している最中なのだ。
「それで、例の衣笠くんからの連絡は?」
「それがさあ、結局LIMEの友達申請なかったんだよねえ」
「だから、毎回ちゃんと充電はしっかりしなさいって言っているでしょうが」
「すみません」
「電源がすぐに落ちるならモバイルバッテリーを持ち歩きなさい。それが無理なら、今すぐ買い換えなさい!」
「いや、そこまでしなくても……」
「大体、相手から連絡が来ないなら直接会いに行けばいいじゃない」
「うーん、そうなんだけどさあ」
「他の女子高の生徒もよくやってるよ。あの男子高前の出待ち」
「嫌だよ。アイドルの出待ちみたい。きゃーきゃー言ってるだけならともかく、バッチバチに牽制し合っている女子とかめっちゃいるじゃん。怖すぎる」
無理ですアピールをする私を、冷たい視線で見据える親友。つ、辛いです。
「じゃあ、録音内容がないことはどうしてくれるのかしら」
「それは、みんな大正時代に行っちゃったんだよ」
「なんなの、その下手くそな言い訳は」
「ひいいいい。本当のことなのに!」
「よしこうなったら、夏休みは別の噂を調査に行くわ。協力してもらうから、そのつもりで」
「ええええええ」
親友に首をがくがく揺らされ、悲鳴をあげる。
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