噂の稲荷神社には、神さまの試練があるらしい。(4)

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噂の稲荷神社には、神さまの試練があるらしい。(4)

「いやいやいや、おかしいでしょ?」  何これ、白昼夢?  もしかして私、熱中症にかかって倒れちゃってるんじゃないの? そのせいで幻覚でも見てるんじゃない?  境内のこちら側とあちら側、一体何で隔てられているんだろう。真っ白な壁かなにか? それとも白く見えるだけで、境内の向こう側には手を伸ばしても何もないのかもしれない。  ドキドキしながら手を伸ばすと、もふっというか、むにゅっとした感触がした。やはり物理的にこちら側とあちら側は分けられているらしい。さらにどこまでそれが続いているのかと思って、手をついたまま境内を一巡りしてみようとしていると、さきほどのイケメン高校生に、その手を掴まれた。問答無用でぐいっと引っ張られる。 「あいたたた、急に何するの。危ないでしょ」 「バカ、お前は何をのんきに『それ』をつついてるんだよ」 「え、ダメだった?」 「こんなわけのわからないものを素手で触ってどうするんだ!」 「手袋があれば良かったの?」 「あってもダメだ。少しは危険予知行動をしろ。お前みたいなやつが、台風の時に田んぼの様子を見に行って流されるんだよ」 「はああああ、じゃああなたはどうするっていうのよ」  そこまで偉そうにひとの批判をするのなら、お手本を見せてみなさいよ。 「まずは外部と連絡が取れるかの確認だろう」 「……確かに」  わりとまともだったので、従うことにした。
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