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【 お化けにナンパ？ 】
バイトが終わり、私服に着替えた後、恐る恐る遊園地の出口のベンチを覗いてみた。
（あっ、さっきの人が座ってる。どうしよう……）
お化け屋敷と同じマスク姿で、ゆっくりと彼の方へと歩いて行くと、彼も私に気付いた様子。
「口裂けさん」
ベンチから立ち上がり、私に大きく手を振っている。
（く、口裂けさん？ 恥ずかしいからやめてその言い方）
顔を伏せながら、足早に彼の元へ。
「あっ、口裂けさんはちょっと……」
「ごめん、ごめん。君の名前、まだ聞いてなかったね。何て言うの？」
「わ、私は、花子。立花 花子って言います」
「えっ？ あの学校のトイレの？」
（また言われてしまった。いつも必ず言われるやつ……）
「そ、それは言わないで下さい」
「ごめん、ごめん。僕は、寺内 遼。よろしくね」
そう言いながら、ニッコリ笑って右手で握手を求めてきた。
私も思わず右手を出して握手に応えた。
「ちょっとだけマスクを外してもらって、見せてもらってもいいかな？」
「えっ？ は、はい。少しだけなら……」
そのベンチにふたりで座り、向き合いながらゆっくりとマスクを外した。
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