6人が本棚に入れています
本棚に追加
君は一人で苦しそうにベンチに座っていた僕を見つけてくれた。
涙を流していた僕を見つけてくれた。
君はそんな僕にこう言ってくれた。
『辛かったんだね。でも。でも。それでも。私がいると言いたかった。生きてていいって…そう言いたかった』
『何で…?僕なんかを?』
僕は君の目を見つめて言った。
すると君は少し笑ってこう返してくれた。
『君が大切だからだよ。冬樹』
大切…か。
そんなこと言われたの……15年ぶり。
あれ…?どうしてだろう。
涙が。
止まらない。
涙が溢れ出して。心の堤防が決壊していって。止まらなくなった。
今まで溜め込んでた苦しみが止まらなくなった。悲しみが。孤独が。
癒やされた気がした。
すると彼女は何も言わずに。
ただ。
ただ。
抱きしめてくれた。
暖かくて。
僕は少し。
生きてていい気がした。
その日。
僕は初めて安眠するかのようにぐっすり寝れたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!