第101話 フク子さんと惑星ブランコ (テーマ『浮遊』)

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 自殺した中学生……うちのひ孫と同い年か。考えたくないけど、笑顔の下の本音を考えちゃうねぇ。フク子は小さくため息をつく。  いじめらっれっ子の味方になる猫型ロボットが開発されるのは22世紀。20世紀半ば生まれのひいおばあちゃんじゃ、何の役にも立たないか。  そういえば公園を散歩しても、めっきり子供たちを見かけなくなった。出会うのはフク子と同じ、年寄りばかり。ほのぼのと昔の自慢話に花を咲かせ、昭和の大スターの訃報にしみじみと涙して、家に帰ってから毎度フク子は自己嫌悪する。 「老後じゃない話題が欲しい……もっと現代をときめくような」 「お義母さんだってまだまだ若いですよ」と言う嫁がくれた萌黄色のスカーフを喜んで首に巻き、お洒落して美容室に行った帰り道。  ファッションショーのランウェイを行くがごとく、颯爽とフク子は公園を歩いたが、知り合いに会うこともなく、腰と脚が痛くなっただけで無駄な努力をしたと、ベンチに座り込んだところだった。
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