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ふと見ると、公園のブランコがひとりでに揺れている。
フク子は童心に返った。
わくわくしながら、ブランコの座板に腰掛け、鎖を握ってゆっくりと漕ぎ始める。
地面から離れた身体が前後に大きく弧を描き揺れていく。
映画のような夕暮れの景色がスクロールしてゆくたび、フク子は興奮した。
「凄い、あたし浮いてる!」
思わずフク子は声を上げはしゃぐ。身近な子供の乗り物がこんなに楽しいなんて。意外な発見だった。
空を見ると満月が昇っている。アポロ11号が月面に到達したとき、フク子はいつか、かぐや姫の住む世界に行けるんだと信じていた。
もっと早く、もっと強く。
フク子を乗せたブランコは、時計の振り子のように、地球の中心で高く大きくスイングする。
月に一番近づいたと思った時、身体が一瞬ふわりと浮き上がる。そして強く引き戻される。
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