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いざ関空へ! 8-2
今度はクスクスと笑い出した。
「どうしたんですか」
「ごめんなさい」
「何が」
「以前、北原さんから真っ直ぐな人だと聞いていたものですから」
「誰が」
「あなたです」
「どうせ単純だと言いたいんでしょ」
何を吹き出して笑っているのよ。
「ばかにしているんですか」
「いいえ。そんなつもりはありません。気を悪くされたなら謝ります」
「そうしてください」
「すみませんでした」
最初からそういう態度でいなさいよ。つかみどころのない女。ほんと疲れるわ。あの人も、よくこういうタイプの女とつき合っていたわね。気が強いっていうか、しぶといっていうか、偏屈っていうか、それに加えて態度がころころと変わったり……。
何だか昔の彼氏に自分が言われていた科白になってきた。考えるのをやめた。
「北原さん」
「何ですか」
「飲み物でもどうですか」
「じゃあ、いただこうかしら」
休戦するのにちょうどいいわ。長期戦になりそうだもの。こんなペースじゃ、話し終える頃には朝を迎えているんじゃないかしら。あれ? 彼女、飛行機の時間はだいじょうぶなのかな? 他人のことなんてどうでもいいじゃない。やっぱり飲み物なんかのんびり飲んでる場合じゃない。とにかく先に訊きたいことは全部訊く。
そう決めた!
「やっぱり飲み物はまだいいです」
「そうですか。あのAB型ですか」
「はぁ?」
「血液型」
図星だ。顔が火照ってきた。
「何よ。AB型だと悪いわけ」
「いえ。そんな気がしたものですから」
「あなたもでしょ!」
「私はA型です!」
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