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いざ関空へ! 8-4
いざ関空へ! 8-4
彼女の口調に押され気味になりつつ訊ねた。
「それで何と、その、どう言ったんですか」
「北原さん、好きです。と伝えました」
「そっ、それで」
「静ちゃん」
「しずちゃん?」
「あっ『しずか』はお店の源氏名です」
紛らわしい。他にも女が出てきたと思っちゃったじゃない。
「ああ、それで」
「静ちゃん、ありがとね。と返事をしてくれました」
「それだけですか」
「はい。それだけです」
「それで終わったんですか」
「いえ」
「ほら、まだあるんじゃない」なんかもう、まどろこしいというか、じりじりするっていうか、ほんと疲れるわ。とにかく細切れながらも忍耐強く訊かなきゃ。
「それからどうしたんですか」
「二人でたばこを買いに行きました」
「そんなのお店にあるんじゃ」
「お店に買い置きはしていません。その都度外へ買いに行ってました」
「まぁいいわ。それで」
「エレベーターの中で」
「エレベーターの中で何をしたのよ」
「いつからって訊かれました」
がくっと上半身が崩れた。肩すかし専門かぁ! ツッコミたくなるわ。私は頬杖をついて続きを訊いた。
「それで」
「ずっと。と答えました」
ふーっと鼻息がでた。なんか訊いているこっちがばからしくなってきた。
「それで」
「それだけです」
「それだけ?」
「はい。それでお店に戻りました」
「ほんとに?」
「はい」
「その時、何にもしなかったんですか」
「何をですか」
「そのぅ、抱き合うとか、キスとか」
「そんなことしません!」
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