第7話 決戦の文化祭

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着々と準備は進められ、学院は文化祭ムード一色となってきた。 生徒会企画が公表されれば、もちろん普通科は大盛り上がり。 あっちでもこっちでも『お題』の話でもちきりだ。 お題はルールの説明のために一部公開してあるが、ほとんどがシークレットにしてある。 それがまた憶測を生み、話の種となっているのは間違いないだろう。 「良い宣伝効果になってますね」 作業をしながらアーシャが告げる。 その手元には生徒会企画の参加希望者の概算が出ていた。 魔術科との話し合いで、ある程度の人数把握を互いにしておくことになったのだ。 「こんなに集まってしまったら、逆に数字を配るのも一苦労になってしまいますね」 確かに、それはそうだ。 毎回数字を配り直す必要だってある。 参加者が多ければ、それもそれで一苦労だ。 魔術科との交流も兼ねているため、そこに抵抗感がある生徒も多くいるかと思ったが、そうでもなかったらしい。 交流週間のときの印象が良かったのもその要因の一つだろう。 「魔術科も普通科(そちら)と同じくらい参加希望がありました」 再び開かれた会議でそう淡々と報告したのは、魔術科の副会長。 それに対して、アーシャが先程の課題点を挙げた。 「それに関しては問題ない。魔術科(こちら)でなんとかできる」 ジルが何食わぬ顔で答えた。 魔術を使って、ということなのだろう。 純粋にその方法が最善だと思っている顔だ。 「不確かな物に対して不満が出る可能性があります」 再びアーシャに指摘された時のジルの顔は実に面白かった。 まさか、そう表現されるとは思っていなかったという顔だ。 「、とは?」 本当にわからなかったらしい。 これぞ、文化の違い。 「魔術による不正が起こりうる、と言いたいんだろ。何ができるかも、どのようにするかも、魔術というものを知らない普通科(我々)にとって、それは不確かなものでしかない」 アーシャに変わって説明する。 魔術を使うことが当然で、生徒会の魔術に対して絶大な信頼をおく魔術科と。 魔術に対する知識がなく、そんな不確かなものを信頼などできない普通科と。 そこには大きな溝があるのだ。
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