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着々と準備は進められ、学院は文化祭ムード一色となってきた。
生徒会企画が公表されれば、もちろん普通科は大盛り上がり。
あっちでもこっちでも『お題』の話でもちきりだ。
お題はルールの説明のために一部公開してあるが、ほとんどがシークレットにしてある。
それがまた憶測を生み、話の種となっているのは間違いないだろう。
「良い宣伝効果になってますね」
作業をしながらアーシャが告げる。
その手元には生徒会企画の参加希望者の概算が出ていた。
魔術科との話し合いで、ある程度の人数把握を互いにしておくことになったのだ。
「こんなに集まってしまったら、逆に数字を配るのも一苦労になってしまいますね」
確かに、それはそうだ。
毎回数字を配り直す必要だってある。
参加者が多ければ、それもそれで一苦労だ。
魔術科との交流も兼ねているため、そこに抵抗感がある生徒も多くいるかと思ったが、そうでもなかったらしい。
交流週間のときの印象が良かったのもその要因の一つだろう。
「魔術科も普通科と同じくらい参加希望がありました」
再び開かれた会議でそう淡々と報告したのは、魔術科の副会長。
それに対して、アーシャが先程の課題点を挙げた。
「それに関しては問題ない。魔術科でなんとかできる」
ジルが何食わぬ顔で答えた。
魔術を使って、ということなのだろう。
純粋にその方法が最善だと思っている顔だ。
「不確かな物に対して不満が出る可能性があります」
再びアーシャに指摘された時のジルの顔は実に面白かった。
まさか、そう表現されるとは思っていなかったという顔だ。
「不確か、とは?」
本当にわからなかったらしい。
これぞ、文化の違い。
「魔術による不正が起こりうる、と言いたいんだろ。何ができるかも、どのようにするかも、魔術というものを知らない普通科にとって、それは不確かなものでしかない」
アーシャに変わって説明する。
魔術を使うことが当然で、生徒会の魔術に対して絶大な信頼をおく魔術科と。
魔術に対する知識がなく、そんな不確かなものを信頼などできない普通科と。
そこには大きな溝があるのだ。
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