第7話 決戦の文化祭

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(Side:なし) 残り1本の指を見て、跪く男はゆっくりと息を吐き出し、言葉を続けた。 「生徒会長を務めるほど聡明で、責任感もあります。悪事を働く人間に対して厳しい一面もありますが、反面、懐に入れた人間には甘く、自己犠牲の精神も併せ持っています」 それを聞いた玉座の男は、残りの1本をゆっくりと折りたたむと、握りしめた手を上向きで開いた。 開かれた掌から現れた綺麗な蝶が、ゆらゆらと揺れながら窓を抜け、外の世界へと飛び立った。 「シオン・レスナー。是非、会ってみたいものだな」 玉座の男のその発言に、跪く男が驚いたように顔を上げた。 その目には困惑の色が浮かぶ。 「貴方様が、直接……、ですか……?」 男の反応が気に食わなかったのか、玉座の男は絶対零度の笑みを顔に貼り付け、男に返した。 「何か、問題が?」 跪く男の反応からは、それが常では無いのが伺える。 それほどの事態、それほどの逸材、ということなのだろう。 「いえ……。今年の学院の文化祭は魔術科と普通科が合同で行うようです。一般の入場も規制されていないため、潜入は容易にできるかと」 「なら、話は早い。彼に関する情報を少しでも多く集めろ」 玉座の男の指示に、跪く男は更に頭を低くして了承を無言で伝えると、転移でその場を去った。 残された玉座の男のもとに戻ってきた蝶が、ヒラリと男の肩に止まる。 「そうか。結界が。これでは、手出しどころか、情報の収集も難しそうだ」 男が知りたかった情報は得られたからか、蝶はそのまま燃えて無くなった。 「随分と優秀なようだ。もしくは、手慣れた術師が近くにいるか……」 他には誰もいない広い広間に、誰に話すでも無い男の声だけが静かに響く。 「いずれにしても、学院なんて久しぶりだ。魔術科と普通科が合同で行事を行うなんて変事も含めて、楽しませてもらおうではないか」 そんな言葉を残して、男は玉座から姿を消した。
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