第7話 決戦の文化祭

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開催セレモニーが終われば、各々が持ち場へと散り、最終準備を行う。 ちなみに、我が8-Sの催物は執事喫茶。 実行委員が、是が非でも、と喫茶店の推しポイントを力説し、クラスの第一希望として票を集めた。 企画会議で出た喫茶店を希望するクラスは魔術科も含めて15クラス。 安全性を踏まえ、調理を含む催物は6年生以上でないと企画できない決まりなため、そう考えるとかなりの確率で喫茶店を希望していることになる。 そんな人気な喫茶店でも、当日開催できるのは6クラスのみ。 そんな高い倍率の中、我がクラスは見事喫茶店を勝ち取ったのである。 企画決定会議の時の実行委員の喜びようといったらすごかった。 もう舞でも踊り出すのではないかというほど。 ガッツポーズが体育祭の比ではなかった。 いや、同じくらいか? まぁ、そんなことは置いておき。 6クラスの中で行われた何喫茶にするかの話し合いでは、第一で手を挙げたメイド喫茶を他クラスに持っていかれ、結果執事喫茶になったわけだ。 結論から言おう。 執事喫茶で良かった。 心からそう思う。 メイド喫茶とか、本当勘弁。 一体誰得なのだ。 当てがわれた教室の一角に仕切ってある簡易更衣室で、渡された執事服に着替える。 普段の白い制服とは違い、黒の燕尾服を着ると随分と印象が変わるようだ。 姿見の前でアメジスト色のネクタイを締めて服装を整える。 どうやらこのネクタイは俺専用の特注だとか。 燕尾服の下は白のシャツにグレーのオシャレなベスト。 一体誰のチョイスなのだろう、と疑問に思うほどセンスが良い組み合わせだ。 教室内で準備に勤しんでいたクラスメイトたちが、更衣室から出てきた俺を見て固まる。 頬を染めながら口をパクパクしているため、その理由は何となく把握した。 「会長様、ステキ……///」 「ほ、ほ、ほ……、惚れるッ!!!」 「黒だと、また違った雰囲気が…//」 「腰、細っ!!!ラインが、エロいわぁ///」 称賛の中に含まれている不穏な言葉。 おい、最後の奴、正直に出て来い。 今なら厳重注意で済ませてやろう。 こうして、9時のチャイムで学院の生徒しか来ない学院内公開が始まった。
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